
【小説】東京テルマエ学園 第1章12話 「湯船を止めるな!渋温泉」後篇
早瀬渡の朝は早い。 いつもアラームが鳴る前に目が覚める。小さい頃から変わらない得意能力だ。 まだいびきをかいている八郎を起こさな...
温泉復興のために、ひと肌脱ぎます!
早瀬渡の朝は早い。 いつもアラームが鳴る前に目が覚める。小さい頃から変わらない得意能力だ。 まだいびきをかいている八郎を起こさな...
星野七瀬は、いつも“2番目”だった。 『本当に可愛いわねぇ』 小さな頃、女の子は誰でも自分が“お姫様”だ。自分が一番可愛くて、一...
日頃それほど賑わいを見せることのない河原に、何やら複数名の男女がたむろっていた。 大きめなビデオカメラを手にした者や、無意味にメガホン...
「……ホントに、これ、着るの?」 段ボールから衣装を取り出したアキが不安げに零すと、他の面々も唸った。 シースルーのぴらぴらの生...
東京から新幹線と電車を乗り継いで約4時間――アキの実家である渋温泉までの移動時間である。 日帰りの小旅行だと思えば丁度いい時間と距離な...
この度の台風19号により被害に遭われた皆さまへ、謹んでお見舞い申し上げますと共に、一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。 ...
「さて皆の衆」 その週最後の講義が終わり、ゆかり女史が資料を閉じながら教室を見回してそう言った。緩みかけていた教室の空気が再び固まった...
土曜日の朝9時少し前。その東京テルマエ学園があるビルの隣、和田急建設ビルのエントランスにアキたちの姿があった。 「東京……てるまえ、か...
「いらっしゃいませぇ、萌でーす!」 テーブルで談笑していた若い男性が萌の声に振り返る。日に焼けた浅黒い肌の男性は、萌と目が合ってぽかん...
その日は珍しく、日中は全科休講だった。 というのも今日の課外実習が夜通しの活動となるものだから、「昼間しっかり休んでおきなさい」という...